先日、お亡くなりになった利用者様の奥様から、考えさせられる言葉をいただきました。

 

「あの人が脳梗塞で倒れて5年。

何を言いたいのかちゃんと聞き取ってあげられへんことが多くてな。

何が言いたいんや?って、どやしてしまってた。

聞き取れないことや理解してあげられんことが、ほんまに歯がゆくてな。

なんでこんな嫌な思いして、介護せなあかんの?ってな。

そやけど、おらんくなってしもたら、寂しいもんやね。

 

周りの人はみんな”よくがんばって介護しなったな。”とか”やっとゆっくりできるな。”とか

ゆうて励ましてくれてやけどな。

 

このごろ、ふと思うんやわ。

あの人はほんまは何考えとったんやろ?って。

私のやってたことは正しかったんかな?

私のことどう思っとったんやろ?ってな。

 

もう、おれへんしどうしようもないんやけどな。

 

手紙でも書いてくれちゃったらよかったのにな・・・」

 

 

「寒いやろうから。」「暑いやろうから。」と季節に合わせて、介護衣類を用意されたり、

天気のいい日には気晴らしに車椅子を押してお散歩されたりと献身的に介護をされていた

奥様から聞いた言葉は、ずっしりと重く私の心に響きました。

 

結婚期間が長くなるにつれ、お互いの存在が空気のようになり、

相手に対する感謝の気持ちも薄れてしまった……というご夫婦は多いはず。

特に、世界恐慌の最中に生まれ、戦時体制に少年期を送ったご利用者様世代の方にとって

奥様に「ありがとう」は照れくさくて言えなかったのかもしれませんね。

 

でも感謝の気持ちにおいて、「阿吽の呼吸」「以心伝心」なんて通用しませんよ。

「ありがとう」の一言さえあれば、この奥様は救われたはず。

介護という答えのない問題と真剣に向き合っておられた奥様だからこそ、旦那様からの答えが

欲しかったのでしょうしね。

 

よくTV番組でやってますよね、お亡くなりになってから生前に書き溜められた手紙がでてきて…

みたいなの。

 

残される者のために、そういうプレゼントは必要だと思います。

あるデイサービスさんでは、そういった取り組みをされているところもあるようですが、

もっと普及していけばいいのにな。

 

あったらステキですよね。